平成22年第2回北本市議会定例会請願文章表 議陳情第6号
人権侵害救済法の成立に反対する意見書の提出に関する陳情
【陳情要旨】
包括的な人権擁護を目的としたいわゆる人権擁護法の成立に反対します。なぜなら、正当な市民の言動まで「差別的言動」として介入され規制されるかも知れないということにより、憲法第21条で保障された国民の表現の自由が侵される恐れがあるからです。
北本市議会におかれましては、国及び関係諸機関に対して、人権侵害救済法の成立に反対する意見書の提出をお願い致します。
【陳情理由】
- 人権侵害救済法で、差別や人権侵害があった、あるいはその恐れがあるという認識に基づいて、令状なしでの居宅への立ち入り調査、動産等の押収、留め置きが出来るという人権委員会というものが設置されることとなっています。 まず、差別、人権侵害の定義があいまいであり、恣意的な運用をされる危険性があります。人権委員会が、被害者とされる人の申告による案件を、差別だ人権侵害だと断定すれば差別となり人権侵害となり罰則を課すことができる、というものですので、差別をしたとされる人の保護規定がないとするならば、市民の言動まで介入するこの法律により、逆に重大な人権侵害が起こされる危険性があります。 つまり、この法律の運用により、市民の正当な表現行為であっても差別であるとか人権侵害であると恣意的に認定される恐れがあり、そうなると規制され罰則を受けるということですので、国民の言論、表現の自由を抑圧することになりかねません。すなわち、いわゆる人権侵害救済法は表現の自由を保障した憲法第21条に抵触し違反するものであることは明白です。
- そもそも、国民が自らの良心に従って何か表現をする際に、まずそれが法に触れるのではと考えなければいけないような社会は、萎縮した社会であり、自由闊達な言論、表現を基盤とした近代国家の在り方に逆行するような社会です。この法律の運用により、そのような前近代的な社会の風潮を生み出し助長することになりかねません。
- また、人権委員会に差別、人権侵害の申し出があり、その申し出にあたるとみなされますと、人権委員会の強権が発動されることになります。被害者とされる人からの申告だけで、誰の家でも令状なしで捜索し拘束する権限がある、というものですので、これ自体が大きな人権侵害を起こす危険性があります。そして、そのようなことを行う重大な権限を持った人権委員会を抑制する機関が無いことも、はなはだ問題です。 これではまるで共産主義国にあってしかるべき制度を、自由な国日本に導入しようとするものです。
- 不当な差別や人権侵害などは、健全な社会、健全な人間関係の下においては存在しないものです。それ故、私たちは、まず健全な社会、健全な人間関係を築くよう努力すべきです。どちらかといえば、教育政策や国民の社会活動などにより解決策を求めるべきでありまして、このようなことは罰則を課したり取り締まったりすることにそぐわず、無理に行えば社会に歪みを生じさせる働きをするだけです。
以上、上記のとおり陳情します。
平成22年5月11日受理
陳情人北本市議会議長加藤勝明様
人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案(人権侵害救済法)成立に反対する意見書
平成17年8月に、民主党は自民党案に対する対案として「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案」を国会に提出し、審議未了廃案となった経緯があります。昨年の衆議院総選挙における民主党のマニュフェストには、「人権侵害救済機関を創設し、人権条約選択議定書を批准する」とあり、具体策として「内閣府の外局として人権侵害救済機関を創設する。」とあります。そして、鳩山首相、千葉法務大臣は、民主党案どおりに、人権擁護法成立に向けてスケジュールを立てる方針を表明しました。このことに対し、大きな懸念を表明します。
人を出生や宗教などで差別することや言われなく虐待することは、断じて許されざることであり、人権侵害はあってはならぬことであって、法案の理想のそのものには異を唱えるものではありません。
問題は、規制のあり方にあります。
いわゆる人権侵害救済法で、差別や人権侵害があった、あるいはその恐れがあるという認識に基づいて、一般救済措置、特別救済措置を行う人権救済機関が内閣府の外局として設置されることとなっていますが、差別、人権侵害の定義があいまいであり、人権救済機関に所属する委員によって恣意的な運用をされる危険性があります。
すなわち、市民の良心に従った自由で正当な表現行為であったとしましても、人権救済期間が差別であるとか人権侵害であるとか認定すると、規制されたり罰則を受けたりする恐れがあるという、まるで共産主義国にあってしかるべきことが自由の国日本で起こる危険性があります。このような行為は国民の言論、表現の自由を直接的、間接的に抑圧することになりかねないことでありまして、憲法の理念を踏みにじりかねないことであります。
そもそも、不当な差別や人権侵害などは、健全な社会、健全な人間関係の下においては存在しないものであります。それ故に、私たちは、まず健全な社会、健全な人間関係を築くよう努力すべきであります。行政機関としては、教育政策や市民の社会活動を活発に行うことなどを通じて、差別の無い人権侵害の無い社会を生み出す政策を行うことの方がより重要であります。このようなことは、罰則を課したり取り締まったりすることにそぐわないことでありまして、無理に行えば逆に行政機関によって新たな人権侵害を起こされるということになりかねないことです。
よって、国におかれまして、いわゆる人権侵害救済法案の成立がなされないことを強く要望するものであります。
更新日:2021年03月31日