【6月16日】きたもとの地域福祉~第二次北本市地域福祉計画に向けて

更新日:2021年03月31日

投稿者(市民リポーター)大嶋佐知さん

市民リポーターの大嶋佐知です。

今現在(平成29年6月~7月)北本市の各所で『地域福祉の実践に向けた地域懇談会』が開催されていることをご存知でしょうか。

広報きたもと6月号【注目情報2】をご覧になった人も多いと思いますが、「第二次北本市地域福祉計画・地域福祉活動計画策定に係る地域懇談会 参加者募集!」に応募・取材をさせていただきました。

ちなみに取材に先立ち、北本市福祉課担当者にこの地域懇談会の目的・内容をうかがうと…。

目的

現在、市および市社会福祉協議会では「住民同士のつながりを軸に、誰もが安心して暮らせる地域づくりを目指すこと」を目的とした「第二次北本市地域福祉計画・地域福祉活動計画」の策定を進めている。地域での福祉における身近な課題、問題点および困りごとならびにその解決策について、市民の皆さんに話し合いをしていただいた内容を計画の策定に活用させていただくため、8コミュニティ圏域ごとに「地域懇談会」を開催することとした。

内容

懇談会は、8コミュニティ圏域ごとに2回開催し「ワークショップ方式」で実施。
第1回では、地域の福祉における課題、問題点および困りごとについて話し合いを行う。
第2回では、第1回で挙げられた課題等の解決策について、地域として実施できることを主眼に検討する。

これまで「福祉」というとなんとなく、特定の対象ごとに(例えば児童や高齢者、障がいを持っている人など)、自治体主導で生活にかかわるサービスを提供するというイメージが漠然とありました。

最新の「福祉」の考え方は、『地域福祉』=地域における「新たな支え合い」(共助)もまた福祉を支える大きな柱であるという、住民主体を重視しているようです。

北本市の地域福祉計画は、平成25年度~平成29年度の「第一次北本市地域福祉計画」。

そして現在進行形で、平成30年度~平成34年度の「第二次北本市地域福祉計画」策定から実行まで、住民参加というコンセプトで進められているのが、今回の地域懇談会の位置づけということになります。

では早速。

6月16日(金曜日)文化センター、第3会議室にて開催された本町西高尾地域の懇談会の様子をリポートいたします!

グループごとにテーブルを分け、机上の資料や飲み物が置いてあり、前方でマイクを持ち話をしている男性の方をみている参加者の写真

この日の参加者は、地域住民、福祉に関心のある市民、福祉活動にかかわる市内外の人、民生委員・児童委員、福祉を勉強中の学生さん、市福祉課職員、社会福祉協議会職員などで25人ほど。

長机の上の模造紙に内容が書いてある付箋が貼られている写真

全体を3グループ、3テーブルに分け、テーブルごとに話し合うテーマが決まっています。

参加者は時間内に、一人ひとりにあらかじめ割り振られた順番どおりに各テーブルを移動し、テーマに沿って、困っていることや地域として解決したほうが良いと感じることを出し合い、付箋に書き込んで、テーブル中央の模造紙に貼り付けていきます(ワールドカフェ方式)。

テーマ

  1. 子ども、子育てに関する困りごとや課題について
  2. 支援の必要な人(高齢者、障がい者ほか)の暮らしに関する困りごとや課題について
  3. 地域の活動に関する困りごとや課題などについて

はじめのうちはテーマに沿った意見を付箋に書き込むだけでも一苦労…と思いきや、ある人の意見に「そうそう!」と同調して次から次へと意見が出てきたり。

福祉活動をされている人の他自治体の取り組みなどの発言を聞いて、北本市と比較したり。

北本市内でも住宅地には住宅地ならではの困りごとが、工場地には工場地の、農業地には農業地の…というように地域ごとに異なる課題もあれば重なる課題も見えてきたりして、90分(30分×3テーブル)のワールドカフェは終始和やかでにぎやかな意見交換の場となりました。

懇談会の最後は意見発表。

テーブル(テーマ)ごとに出た意見を発表しました。

グループごとに分かれ席に着き、前方でマイクを持ち白板の資料を説明している男性をみている参加者の写真6月中に開催された第1回地域懇談会で出された意見の主なものは以下のとおりです。

地域懇談会 課題

  1. 子ども、子育てに関する困りごとや課題について
    • 外遊びをする子どもを見かけない、少ない。
    • 様々な凶悪事件等の影響があり、子どもたちだけで集まって遊べる機会が少ない。
    • 虐待、貧困、不登校等、問題を抱える児童の情報を住民が把握しにくい状況。
    • 地域全体で子どもを育てていく手段はないか。
    • 子育てに関する相談相手が身近にいない。
    • 子供会が消滅してしまっている地域が多い。
  2. 支援の必要な人(高齢者、障がい者ほか)の暮らしに関する困りごとや課題について
    • 家事を行うことが困難な高齢者が多い。
    • 通院、買い物時の移動手段に問題を抱えている高齢者、障がい者が多い。
    • 支援を必要としている人の情報がない。
    • 支援を必要としているが、他人と関わりたがらない人とどのように接していくか。
    • 住民同士での交流を嫌う男性の高齢者が多い。
  3. 地域の活動に関する困りごとや課題などについて
    • 高齢者、障がい者、子どもが交流できる地域活動が少ない。
    • 自治会、コミュニティ委員会、支部社協等、地域活動の担い手不足が顕著。

今回、「地域福祉」について自分なりに勉強してみたところ、現代の社会情勢は「お上の恩恵」的な福祉の考えでは対応しきれない…というか公的サービスだけでは心もとない、というところに来ているのだなというのが正直な感想です。
公的サービスもある分野では非常にきめ細かで充実していても、その制度を利用するまでではない簡易なケース、セルフネグレクトや情報不足で公的サービスを利用できないケース、身近で実際に生活する人が気がつかなければ発見されないケース(孤立死など)、制度の対象とみなされにくいケース(ホームレスや外国人など)などを考えると、地域の福祉課題は一律とはいえないようです。

それになにより、福祉は特定の対象にかぎったことではなく、安心・安全に生活することが住民にとっての大前提ですよね。
北本市地域懇談会の大きな目的も、地域に住むすべての人が生活しやすい地域社会をつくる必要があり、そのための地域福祉計画であり、そのための計画策定に係る住民参加、というところにあるのだと思いました。

『近年の社会情勢を見ると、少子高齢化の進行や家族形態の変化、地域社会の変容などにより、私たちを取り巻く環境は大きく変化しています。特に、人間関係の希薄化が進む今、誰もが住みなれた地域で安心して暮らせるよう「助け合い」「支え合い」の関係・仕組みをつくることが求められてきています。
「誰もが住みなれた地域で安心して自立した生活が送れるよう、住民・福祉関係団体・社会福祉協議会・行政などが、助け合い・支え合いの取り組みを互いに協力して行い、幸せな生活を“地域”全体で推進していく」ことが地域福祉』(地域懇談会開催要項より)

そして最も気になることが、北本市の地域福祉計画が完成した後の住民と地域福祉の在り方ですよね。
住民が地域活動の担い手であると同時に地域の生活課題を知るものとして、常に、福祉に関するあらゆる決定事項にかかわっていく。行政も刻々と変容していく福祉ニーズに対応する施策には住民の意思を反映させることに主眼を置く。住民と行政は地域福祉の大切な両輪なのかなと思います。

福祉はむずかしい~~~!
難しいのは「生」の生活に密着した問題だからですよね…。

今後も、第2回地域懇談会や計画策定に関するパブリックコメントが実施されます。
関心のある人は、
北本市福祉課地域福祉・監査担当 電話番号 048-594-5534
北本市社会福祉協議会 電話番号 048-593-2961