【11月19日】第44回北本市総合防災訓練はまるでテーマパークでした!【前編】
(市民リポーター)山下太郎さん
消防団特別点検の様子
こんにちは。市民リポーターの山下太郎です。
11月19日(日曜日)、雲一つない快晴の空のもと、第44回北本市総合防災訓練が実施されました。
「訓練」と聞いて参加したら、そこはまるでテーマパークでした。その様子をリポートします。
みなさんは「防災訓練」と聞いて、何をイメージしますか?
「家族、隣近所で避難場所に移動します」
「消火器を実際に使用してみます」
正解です。ところが北本市のイベントはそれだけではないのです。当日のスケジュールに沿って、前・後編の大ボリュームでリポートをお届けします。
8時25分 消防団特別点検
勇壮な行進
8時25分、サイレンの合図で訓練開始です。
このサイレンは、防災無線を使います。訓練開始の合図そのものが、無線の点検を兼ねているのですね。
8時30分、多目的広場に、消防団のみなさんが整列しました。
団旗を先頭に消防団整列
分団ごとに点呼を取り、隊長に報告します。実にキビキビとした動きです。その真剣なまなざしから、日ごろの訓練で鍛えた統率力が一目瞭然です。
続いて国旗掲揚、団旗入場、そして開会宣言です。
「これより、特別点検を開始する」
防災訓練会場(準備中)
北本総合公園はとても広いです。
一般市民を対象とした各種イベントは、芝生広場、芝生広場通路、そして噴水広場でも行われます。
各ブースの担当者は、朝7時から準備していました。それぞれ準備万端に整えて、9時30分のイベント開始に備えています。
準備の様子を見ていたら、多目的広場の入り口から、とても美味しそうな香りが漂ってきました。カレーです。
炊き出し訓練 カレー準備中
「自衛隊カレー」と「武蔵丘短期大学オリジナルカレー」の調理中でした。
このカレーは、単にふるまうだけでなく、これ自体が「炊き出し訓練」なのです。災害発生時には、水道や電気、ガスなどのインフラが使えなくなります。そんなときは、自主防災組織や自治体、自衛隊などが炊き出しをする必要があります。
炊き出し訓練は、10時30分から。
この訓練にはシカケがあります。カレーをいただくには、「スタンプラリー」に参加する必要があるのです。
芝生広場には25か所のブースがあります。そのうち、体験型アトラクションが12か所あります。体験すると、台紙にスタンプがもらえます。スタンプを5種類集めると、カレーがもらえる、ということなんです。
私も取材をしながら、スタンプを集めることにしました。
9時30分 防災訓練ブース開場
9時30分、防災訓練ブースが開場しました。とりあえず、スタンプ5個を目指します。
サバイバルキッチン
サバイバルキッチン
まずは体験ブースが並ぶ芝生広場へ。
ワクワクする看板に誘われて、「サバイバルキッチン」のブースを訪問しました。
被災して身の安全を確保した次に必要なのが「食べること」です。
参加者は、かるたの読み札みたいなカードを貰います。それがクイズになっています。
「開けたらすぐに食べられます」などのヒントを元に、目の前の「食材」を見つけてボードに貼ります。
このクイズの正解は、「缶詰」です。
賞味期限5年間の備蓄用食品
ボードは「赤」と「青」の2種類です。青は日持ちしないもの、赤は日持ちするものです。
なるほど。
被災して停電したら、冷蔵庫が使えなくなります。日持ちしない食材を無駄なく食べることで「サバイバル」ですね。
ゲームの最後は「ローリングストック」を学びました。難しいことではありません。
1. 普段使う食料品で、保存期間が長いものを少し多めに買いおき。
2. チェックリストを作成し、賞味期限をチェックしながら消費します。
3. 消費した分だけ買い足して補充します。
詳しく知りたい人は、農林水産省ホームページをご覧ください。
119番通報訓練
119番通報訓練
続いて「119番通報訓練」ブースへ。
いきなり通報するのではなく、訓練前に、「住宅用火災警報器はついていますか」と質問されました。
大切な設備の設置有無を来訪者に確認することで、基本的な防災知識が得られる、とても良い方法だと思いました。
119番通報訓練にはいくつかのシナリオがありました。私が選んだのは「台所から出火して、やけどを負った」というシナリオ。
ブースの奥には、消防署オペレーター役の人が座っておられます。「どうぞ」の合図で、受話器をあげて119をプッシュ。訓練と分かっていても、少し緊張しました。
「119番消防署です。火事ですか?救急ですか?」
「火事です」
手元に用意された「台本」を、落ち着いて読み上げます。慣れてきた頃に、台本にない質問をされましたが、落ち着いて回答できました。
普段テレビなどでも見る場面ですが、実際に自分が電話で話してみると、意外と難しいことが分かりました。
いざという時に「ぶっつけ本番」では、焦って話せないと思います。一度体験しておくと、ずいぶんと心構えが違います。
みなさんも、機会があればぜひ「119番通報訓練」をしてください。
災害ボランティアセンター(北本市社会福祉協議会)
災害ボランティアセンター
(北本市社会福祉協議会)
みなさんは「社会福祉協議会(社協)」をご存知ですか。社協は、すべての都道府県・市町村に設置されている民間の非営利団体です。行政と一緒に、地域福祉の推進を担う団体でして、皆さんも何度か利用したり、お世話になっているはずです。
災害発生時には、国や県、自治体だけではマンパワーが不足します。それを補うのが社協。
北本市社協のブースは「災害ボランティアセンター」です。
まず、パネル展示でボランティアの豆知識を教えてもらいます。例えば服装。被災地はチリやホコリが舞っていたり、感染症のリスクもあるので、想像以上に「重装備」です。
北本市社協では「災害ボランティア実技講座」を実施しています。知識講座に加えて、土のう作りや、一輪車の使い方などを学びます。
災害ボランティアの服装例(水害)
アトラクションは「一輪車で土のうを運ぶ」です。スタート地点から約5m先に折り返し地点があります。「かんたん、かんたん」と思いましたが、折り返しのカーブで土のうをひっくり返しそうになりました。「カーブのバランスが難しいんですよ」と職員の丸山さんがアドバイスをくれました。
一輪車を使う体験は初めてだったので、意外な発見がありました。見るのとやるのとでは、大違いでした。
出典:水害時の参考例「水害ボランティア作業マニュアル」(日本財団、レスキューストックヤード)
水消火器訓練
水消火器訓練
「水消火器」というのは、訓練用の消火器です。見た目と構造は、市販の消火器と全く同じですが、中身が違います。
例えば「粉末消火器」には消火用薬剤が入っています。訓練の時に本物の粉末消火器を使うと、あたり一面、粉だらけになります。
「水消火器」の中身は水ですので、屋外で使う分には全く問題ありません。
ブースに行くと、スタッフの人が操作方法を教えてくださいました。
一般的な粉末消火器
「水消火器は、約5m届きます。火に近づきすぎると危ないから、適度な距離を取ってください」と説明を受けてスタート。
手順は次のとおりです。
・レバーの下を持って、火元の近くに移動
・安全ピンを抜く
・ホースを外して火元に向ける
この時に、なるべくホースの先端を持つと安定するそうです。
・レバーを強く握って噴射する
思ったよりも、勢いよく水が出ました。
いざ火事に遭遇して「どうやって操作するんだっけ・・・」と考える暇はありません。一連の動作は、一度体験しておけば安心ですね。
防災グッズ暗記クイズ
防災グッズ暗記クイズ
家に置いておくとよい防災グッズ10個
出典:埼玉県ホームページ イツモ防災教材「防災グッズ暗記クイズ」
「防災グッズ暗記クイズ」ブースに行くと、シートで目隠しされた「何か」が地面に陳列してあります。
「防災グッズとして役に立ったベスト10」なのだそうです。目隠しを取って暗記タイムが1分間。再び目隠しをして、何が置いてあったかを答えるゲームです。
記憶力には自信があります。1分間かけて必死に覚えました。
答え合わせでは、一つ一つ、どのような場面で役に立つのかを説明してくれました。たとえば「懐中電灯」よりも「ランタン」が良いのだそうです。「懐中電灯」では一方向しか明るくなりません。「ランタン」であれば、置いた周りが明るくなります。今ではキャンプ用品として普及しているから、買いやすいです。「3個あると良いでしょう」とのことです。例えば「家族1人に1個ずつ」とか「トイレ、居間、寝室に1個ずつ」という具合です。
新聞紙も使い方がたくさんあります。添え木、雑巾、寒い時は体に巻けば防寒着にもなります。「ゴミとして全部出すのではなくて、少し残しておきましょう」と、細やかなアドバイスが嬉しいです。
さて、スタンプが5個揃ったので「カレーを食べる権利」獲得です。
【後編】では、炊き出し訓練、車両展示、企業ブースのインタビューなどをお届けします。
更新日:2023年12月27日