日本五大桜
大正11年に国が指定した天然記念物のなかに5本の桜があります。
埼玉県北本市 | 石戸蒲ザクラ(いしとかばざくら) |
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福島県田村郡三春町 | 三春滝桜(みはるたきざくら) |
山梨県北杜市 | 山高神代桜(やまたかじんだいざくら) |
静岡県富士宮市 | 狩宿の下馬ザクラ(かりやどのげばざくら) |
岐阜県本巣市 | 根尾谷淡墨ザクラ(ねおだにうすずみざくら) |
以上の5本の桜が「日本五大桜」と呼ばれています。
石戸蒲ザクラ (国指定天然記念物) 大正11年(1922年)10月12日指定
石戸宿3丁目の東光寺境内に所在する「石戸蒲ザクラ」は、樹齢約800年とされる銘木です。江戸時代の昔から評判の高い桜であったようで、当時の文人たちがさまざまに記録を残しています。なかでも滝澤馬琴(たきざわばきん)の著した「玄同放言(げんどうほうげん)」では地元の古老から聞いた蒲ザクラの来歴やその大きさを紹介し、あわせて渡辺崋山(わたなべかざん)の筆による見事な蒲ザクラの挿絵(さしえ)を添えてかつての威容を伝えています。
蒲ザクラの名称は蒲冠者(かばのかんじゃ)源範頼(みなもとののりより)に由来します。範頼の兄は鎌倉幕府を開いた源頼朝(みなもとのよりとも)で、弟である義経(よしつね)とはともに平家追討で功績をあげました。しかし範頼は頼朝からあらぬ疑いをかけられて伊豆の修善寺に流され、そこで亡くなったとされています。ところがこの蒲ザクラには、追っ手をのがれた範頼が東光寺までたどり着いたとの言い伝えが残されており、そのとき突いてきた杖を地面に突き刺すと、それが根付いて蒲ザクラに成長したといわれています。
植物学上では「カバザクラ」という独立した和名が与えられていて、野生種であるエドヒガンザクラとヤマザクラの自然雑種とされています。自生するものは東光寺にある蒲ザクラが唯一のもので、その意味で貴重種であるいえます。蒲ザクラの見ごろは例年4月10日前後で、色の白い小ぶりの花を咲かせます。
更新日:2021年03月31日