【5月29日】「唄う」ことは「うったえる」こと 第60回北本市民謡大会
(市民リポーター)大嶋佐知さん
はじめまして。北本市市民リポーターの大嶋佐知と申します。
北本市へ転入して約1年半になります。私の実家は埼玉県東部なのですが、「○○市ってどこ?」と聞かれて近隣の2市を挙げるとなんとなく了解してもらえるような、そんな不思議にほのかな存在感が北本市と少し似ていて。でも実は、みんなも知らないような魅力が北本にはいっぱいあるかも…。
市全域が遺跡の宝庫、緑にかこまれた北本をもっともっと知りたいと思っています。そして、その思いを少しでも多くの方へお届けできたらうれしいです。よろしくお願いいたします。

初夏の風薫る5月29日(日曜日)、北本市文化センターで北本市民謡協会主催の「第60回民謡大会」が開催されました。
「年令別の個人種目」「合唱種目」のコンクール、器楽合奏や前回優勝者による演奏など大いに盛り上がった一日となりました。
北本市の民謡活動は北本市教育委員会の呼びかけにより始まりました。地道な活動を続け約40年。民謡文化のすそ野は広がり続けています。
今年は170組の演奏があり、うち14組の少年少女のよく通った唄声がホールいっぱいに響き渡りました。
各部門の審査結果は次のとおり。
- 【けやきの部】(75歳以上) 優勝=鈴木美佐子さん
- 【松の部】(71歳~74歳) 優勝=新井律子さん
- 【竹の部】(66歳~70歳) 優勝=菅谷純一さん
- 【梅の部】(65歳以下) 優勝=岩崎月志乃さん
- 【合唱の部】 優勝=信進会
日本民謡協会(公益財団法人)、埼玉県民謡協会、郷土民謡協会の各審査員からは「北本市の民謡は年々上達している」との嬉しい講評もありました。
本大会の成績優秀者は来年3月に開催される埼玉県の民謡大会に出場します。

北本市民謡協会会長の齋藤潮山(ちょうざん)さんは「民謡文化を次世代へ継承することが大切だ」と話されます。
「民謡の多くは『仕事唄』です。集団労働の息を合わせるためや重労働の苦しさを軽減させるという意味がありました。それぞれの土地でさまざまな唄い方がありますが、日々の暮らしにこめられた唄だからこそ人々の心を打つ、『唄う』ことは『うったえる』こと」と話し、上達方法をうかがうと「口も目もいっぱいに開いて、詩の情景を思い描きながら自分らしく唄うこと」と教えてくださいました。さらに「民謡をする人は(大きく口を開けるので)ほうれいせん線が消えてスッキリするんですよ」との耳より情報も!
次の民謡を聞いて「あ、知ってる知ってる!」という方はいらっしゃいますか?
(ハードッコイ ドッコイ)
♪ならしナーヨ ソレ ならせよソーレナ 土端棒でならせヨー
(ハードッコイ ドッコイ)
ならしナーヨー かけなきゃソーレナ そうだよ 土端じゃないよ
(ハードッコイ ドッコイ)
実は、北本市内小学校5年生から中学生の多くは『(♪ハードッコイ ドッコイ)』にピンと来たかもしれません。埼玉県の民謡『荒川土端打唄(あらかわどはうちうた)』の一節です。
北本市内小学校8校では、5年前から4年生を対象に民謡教室が授業の一環として取り入れられています。北本市民謡協会の有志が、ボランティアでこどもたちに地域の民謡と和楽器(三味線、こきりこ、ささら、尺八、太鼓)を教えます。
「我々のこれから先の10年とこどもたちの10年を比べてみても、こどもたちが経験するものは計り知れない。その経験のほんのひとときとはいえ民謡体験は人生の中で意味を持ってくるものだと思います」と齋藤会長。
埼玉県の川の面積((注意)県土の中で河川の占める割合)は「日本一」といったら驚かれるでしょうか。
川は人々の生活に深く関係し、人々の生活にとって大きな役割を果たしています。
その昔、川の土手の改修工事や築堤工事は近在の人々の手によって行われていました。河川敷に大勢の人たちが一列に並び、一糸乱れぬ呼吸と動きで土手を打ち固めるという作業に、こうした民謡はなくてはならないものだったのでしょう。
民謡の唄の意味を知り、昔から伝わる和楽器に触れることで、こどもたちの人生の中の経験がまたひとつ深まるだろうと感じました。
次回「第61回北本市民謡大会」は、平成29年5月28日(日曜日)開催予定です。
更新日:2021年03月31日