【7月23日】きたもとのホタル
(市民リポーター)大嶋佐知さん
市民リポーターの大嶋佐知です。
今年の夏は、出会いたかったものに出会えました!
- 日時:7月23日の夜8時
- 場所:北本自然観察公園
- きっかけ:埼玉新聞の特別連載「もっと!北本」の中でホタルを取り上げた回の取材同行
…ってことで。
ホタル、に会ってきましたよ~~!

強く照りつける夏の太陽に自然観察公園の木々がくっきりとした影をつくっていました。

拠点施設である埼玉県自然学習センターへ。
自然学習センター内にはホタルコーナーもあって、ホタルの観察ガイドやホタルの写真、定期的なホタル調査の結果などが展示されています。

点滅しながらポワポワ飛ぶホタルの数を細かく数えているのですねー!
今年は7月13日の400匹が一番多かったようですね。多い年は700匹以上確認されることもあるそうです。
北本自然観察公園は『埼玉県の「里地里山」の自然環境を残しながら、野生の生きものがくらしやすいよう、また来園される方が自然に親しめるように整えられた公園です。1992年(平成4年)7月にオープンし、32.9ヘクタールの広さがあります。隣接する荒川の河川敷につくられた「荒川ビオトープ」と共に、野生の生きものの生息場所として重要な役割を持っています。』
公園内を歩いてみると。
雑木林に囲まれた散策路、多種多様な植物、少しこもったような湿った匂い、近景と遠景では景色がガラリと変わります。

セミの抜け殻発見!

メダカたち
画像:埼玉県自然学習センター提供(平成30年7月27日撮影)
公園の中には実はこんな場所もあります。
スズメバチも駆除するものではなく共存するもの、という考え方なのですね。
自然の中ではヒトもまたその生態系の一員であるということを強く感じさせられました。
もちろん、公園を管理するスタッフが日々歩き回ってヘビやハチなど危険な生き物がいる場所を把握しています。いたずらに騒いで生き物をおびやかすのではなく、むしろそうした生き物が攻撃的にならないでいいような環境を守っていくことが大切なのだと気づきました。
7月後半の満月の5日前の夜8時。
雨の降らない日が続いています。
ホタルがよく見られるのは、曇っていて(月明かりがない)、蒸し暑くて、あたりが暗くなってから1時間程度。(時間帯以外は)ホタル条件に適さない日程を選んでしまいました!

「八つ橋」をわたって「あずまや」の先を進んでいきます。

雑木林を抜けて…
いました!!
2匹のホタルの光跡です。
たぶん上側がオスで下側のメスのほうへ一生懸命飛んで行っているのです。
ホタルは撮影が難しいそうで私の腕前ではこれが精いっぱいでした…
ホタルの乱舞、というよりは木々の間で控えめに点滅する姿がよ~~く目を凝らせば見えるかどうか、というくらい繊細なものでした。公園内のホタルはヘイケボタルということで、ゲンジボタルと比べると体も小さければ点滅もはかなげ。
1センチメートル程度の小さな命がお互いの光を頼りに飛び交う様子を息をつめるように見守っていると、時間があっという間に経ってしまいます。
北本自然観察公園へホタルを見に訪れる人の数は年々増加してきています。
とりわけホタル観察は夜の時間帯のため、普段以上に観察マナーについては注意したいものです。
実際、公園内はほとんどが土の道なのでぬかるみや凹凸がありました。街灯もほとんどないので月明かりがない日などは懐中電灯が必要かもしれません。ホタルは少しの明かりでも光ることをやめてしまうようですので懐中電灯の使用は最小限にすることも大事。
同じ時間帯に公園を訪れていた家族連れに公園スタッフがそっと声をかけると、子どもたちはとても気をつけて木道を進んで行っていました。
北本自然観察公園で見られるホタルはすべて「ヘイケボタル」です。
画像:埼玉県自然学習センター提供
昔から公園内の湿地で自然発生しています。
ホタルが生息するためには、水辺やエサの巻き貝、さなぎのための軟らかい岸辺、夜の暗さなどいくつもの環境条件が必要なのだそうです。
「以前、ホタルがたくさん見られた谷の場所に大雨で土砂が大量に流入したことがあるんです。もう何年もたって見た目には元通りになってはいても、その場所にはホタルはまだ戻ってきていません」と自然学習センターの職員の方がおっしゃっていました。
環境が姿を変えるのはあっという間ですがそれを元に戻すには長い年月がかかるのですね!
夏のヘイケボタルや早春のニホンアカガエルの産卵、希少な昆虫たちや数多くの野鳥、野生の動植物。
北本自然観察公園の四季は数多くの動植物に彩られ、次から次へと移り変わり、新しい命が生まれやがて死に、花を咲かせて種子となり、渡り鳥が訪れ、一年中生き物たちでにぎやかです。
公園では「里地里山」の環境を維持するために日々スタッフが園内を巡回する他、雑木林の手入れや下草刈り、湿地の草取りや池の土砂の除去などに多くのボランティアが参加しているとのことでした。
きたもとのホタルは、「里地里山」を守ろうとするさまざまな人の思いが、夏の夜に灯となって現れたものなのかもしれませんね。
更新日:2021年03月31日