雑木林をめぐる動き

更新日:2021年03月31日

かつて雑木林は、まきや炭、たい肥の材料を採取する場として、伐採と再生を繰り返しながら大切に維持管理されていました。雑木林は生活や農業と密接に関連し、郷土の林として人々に親しまれていたのです。雑木林は、まさに人と自然が共生をする中心的な空間でした。

しかし、高度経済成長時に、ガス・石油などの新しいエネルギーへの転換や化学肥料の利用が進んだため、雑木林はそれまでの役割を失って、放置されてしまいました。この結果、雑木林には下草が生い茂り、ごみが不法に捨てられるなど荒廃しました。

首都圏の通勤圏に位置する北本市は、昭和30年代から都市化が著しく進展し、人口は増加の一途をたどりました。人口が増大して宅地の需要が増加すると、雑木林は宅地開発の対象となり、林の分断や消失が急速に進みました。

その後、都市の居住環境として“みどりの豊かさ”などの快適性が重視されるようになり、雑木林は、都会のオアシスとして、新たな市民権を得ました。北本市は、昭和54年からの北本市総合振興計画と緑の基本計画に基づく長期的な視点から、緑化の推進や保全すべき樹林地の指定を行いました。平成4年には、JR高崎線沿線に残る雑木林の一部を北本中央緑地として都市計画決定し、整備が行われています。

(写真)雑木林

また、北本の里山を代表する「高尾宮岡ふるさとの緑の景観地」が、「さいたま緑のトラスト保全第8号地」に選定され、その用地取得のため平成18年に「北本ふるさと緑の市民債」を発行しました。発行総額の約7倍近い応募があり、ふるさとの緑を守るという市民の関心の高さと強い意識が示されました。

しかし、雑木林のほとんどは民有地であり、相続税の納付が負担となって売却されたり、宅地として開発されるなど、北本の雑木林は急速に減少しているのが実状です。

このため、市街地内に残されてきた雑木林などの緑が大きく減少していくことが考えられ、今後、その適切な保全と活用に向けた市民・事業者・行政の協力が、一層重要になっています。

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