デーノタメ遺跡

更新日:2022年07月06日

◆デーノタメ遺跡報告書(概要版)

以下のリンクより報告書を閲覧することができます。

※報告書のデータの無断転載を禁止いたします。図版等の転載を希望する場合は、事前に北本市教育委員会文化財保護課まで電話、ファクス、Eメールにてお問い合わせください。

 

デーノタメ遺跡報告書(概要版) (PDF:3.8MB)

 

 

デーノタメ遺跡とは

デーノタメ遺跡は北本市下石戸下地内に位置する、縄文時代の集落跡が残る遺跡です。

この遺跡は「久保特定土地区画整理事業」の都市計画道路や遊水地等の計画エリアであることから、平成10年に範囲確認調査を実施したところ、広汎にわたる縄文時代中期~後期の集落跡が確認されました。

この結果を受け、北本市教育委員会と北本市において遺跡の保存について協議を行いましたが、すでに認可を受けた都市計画道路、区画整理事業の計画変更は困難であるとの判断から、遺跡の発掘調査を行い、記録保存措置をとることとなりました。

その後、4度にわたる発掘調査、および内容確認調査によって遺跡の全容が徐々に明らかになり、関東最大級の環状集落を持つ遺跡であること、集落と水辺がセットで残された全国的にもまれな遺跡であること、低地部から多量の有機質の遺物が出土しており、縄文人の植物利用の実態が解明できる遺跡であることなどがわかってきました。

今までに行われた調査

平成10年度 範囲確認調査 縄文時代中・後期集落跡を確認

平成12年度 第1次発掘調査 住居跡7軒を確認

平成17年度 第2次発掘調査 住居跡15軒を確認

平成19年度 第3次発掘調査 住居跡15軒を確認

平成19-20年度 第4次発掘調査 縄文時代中・後期の低湿地遺跡を調査

平成20年度 範囲確認調査 縄文時代中・後期の泥炭層を確認

平成24年度 内容確認調査 縄文時代中・後期の集落を確認

平成25年度 内容確認調査 縄文時代中・後期の集落を確認

平成27年度 内容確認調査 縄文時代中・後期の集落規模・構造を確認

平成28年度 内容確認調査 縄文時代中・後期の集落規模・構造を確認

平成29年度 内容確認調査 縄文時代中・後期の集落規模・構造と後期の低湿地遺跡を確認

平成30年度 内容確認調査 低位面において 縄文時代中期の住居跡2件を確認

台地上の調査

第1次発掘調査全景

低地の調査

第4次発掘調査全景

どんな遺跡なの?

北本市下石戸下地内にあるデーノタメ遺跡には、縄文時代中期(約5,000年前)から縄文時代後期(約3,800年前)にかけての集落及び水場が残されています。この集落は非常に大きく、縄文中期集落は長径210mと、関東最大級の大きさです。また、この遺跡は台地の下が低湿地遺跡であるため、漆塗土器やクルミ、トチノキの種実など、通常の遺跡では残らない有機質の遺物等が大量に出土しています。

縄文時代中~後期の人々の生活や環境を、集落と水場の両方で追いかけることができるため、今後の調査・分析による成果が期待されています。

遺跡の位置図

「デーノタメ」の由来

遺跡の名前「デーノタメ」は、昭和40年代までこの地にあった湧水による50mプールほどの大きさのため池の名前から取っています。

なぜため池を「デーノタメ」(デイノタメと発音する場合もある)と呼んでいたのかについては、以下の二つの説があります。

1 湧水のことを「デスイ」または「デイ」とも言うことから、「出水のため池」が由来。

2 北側の台原地区を「デエッパラ」と呼ぶことから、「台原のため池」が由来。

これが関東最大級の環状集落!

下の図は現在までに行われた調査から推定される、集落の想定図です。

中期集落の調査では、中央に広場を持つ、ドーナツ型の集落の存在が明らかになりました。このような集落を環状集落と呼んでいます。この集落は長径が210m、短径が160mと非常に大きく、関東最大級の大きさです。

中期集落の調査に続いて行った後期集落の調査では、遺跡に湾入する谷の地形に沿って、半円形に展開する集落が確認されました。やはり後期集落の規模としては大きく、長さが約270mあります。

デーノタメ遺跡航空写真

まるでタイムカプセル!低湿地遺跡から得られた、貴重な遺物の数々

デーノタメ遺跡には、縄文時代中期と後期の2つの低湿地遺跡があります。この低湿地遺跡は、当時は集落の水場として使われていたと考えられ、縄文人たちが暮らした痕跡がいくつも残っています。

クルミ出土の様子

クルミ核出土の様子

クルミ型土製品

クルミ型土製品

ヒスイ大珠

ヒスイ製大珠出土状況

漆塗り土器

漆塗土器

低湿地遺跡からは漆製品やクルミといった通常の遺跡ではほとんど残らない有機質の遺物が多く見つかっています。

これは多量の地下水を含んだ粘土や砂によって遺物が空気から遮断されるためで、台地の遺跡では得られない情報の宝庫です。

この様な土の層を考古学用語で「泥炭層」と呼びますが、低湿地遺跡ではこの泥炭層のおかげで、当時の様子をそのまま残したような貴重な遺物が大量に出土します。

デーノタメ遺跡関係資料

デーノタメ通信vol.1 (PDF:782.9KB)

デーノタメ通信vol.2 (PDF:1.1MB)

デーノタメ通信vol.3 (PDF:833.2KB)

デーノタメ通信vol.4 (PDF:907.5KB)

デーノタメ通信vol.5 (PDF:1.1MB)

 

広報きたもと2017年2月号特集ページ (PDF:2.5MB)

第1回デーノタメ遺跡シンポジウム予稿集 (ZIP:7.9MB)

第1回デーノタメ遺跡シンポジウムリーフレット (ZIP:4.5MB)

第2回デーノタメ遺跡シンポジウム資料集 (ZIP:5.3MB)

第2回デーノタメ遺跡シンポジウムリーフレット (PDF:6.9MB)

地図情報

この記事に関するお問い合わせ先

文化財保護課文化財保護担当
〒364-8633
埼玉県北本市本町1-111
電話:048-594-5566
ファックス:048-593-5985
お問い合わせはこちら