北本市子どもの権利に関する条例(令和4年10月1日施行)

更新日:2022年10月01日

北本市子どもの権利に関する条例

 北本市では、子どもの権利の内容を明らかにするとともに、子どもの権利を守るための仕組みを定めることで子どもの権利を保障し、もって全ての子どもが幸せな生活を送ることができる社会を実現することを目的とした、「北本市子どもの権利に関する条例」を制定しました。
 この条例の制定については、令和3年6月、北本市議会において「子どもの権利に関する特別委員会」が設置され、同特別委員会による議論、検討が進められました。その後、令和4年第1回北本市議会定例会(令和4年3月)において条例案が提案され、議会における全会一致により可決、成立しました。
 これを受け、令和4年3月31日付けで「北本市子どもの権利に関する条例」を公布し、令和4年10月1日から施行しました。

条例の目的

  • 子どもの権利の内容を明らかにする
  • 子どもの権利を守るための仕組みを定めることで子どもの権利を保障する

これをもって全ての子どもが幸せな生活を送ることができる社会を実現することを目的とします。

基本理念

子どもの権利は、次に掲げる事項を基本理念として、保障されなければなりません。

  1. 子ども又は家族の生まれ育った環境、状況、人種、国籍、障害の有無等にかかわらず、差別されないこと。
  2. 子どもの最善の利益が優先して考慮されること。
  3. 子どもの生きる権利が認められ、成長及び発達が可能な最大限の範囲において確保されること。
  4. 自らに影響を及ぼす全ての事項について意見を表明することができること及びその意見がその子どもの年齢及び発達の程度に応じて、十分に尊重されること。
  5. 自らが権利の主体であり、その権利を自ら行使することができること及びその権利の行使に当たって必要な支援を受けられること。

保障されなければならない大切な子どもの権利

  • 次に掲げる子どもの権利は、子どもが成長し、及び発達していくために大切な子どもの権利として保障されなければなりません。
  • 子どもは、自らの権利を大切にするとともに他者の権利を尊重することができる力を身に付けるために、必要な支援を受けることができます。

安心して生きる権利

  1. 命が守られ、尊重されること。
  2. 愛情及び理解をもって育まれること。
  3. あらゆる差別及び不当な扱いを受けないこと。
  4. あらゆる身体的若しくは精神的な暴力を受けないこと又は放置されないこと。
  5. 健康に配慮がなされ、適切な医療が受けられること。
  6. 平和及び安全な環境の下で生活できること。
  7. 困っていること及び不安に思っていることについて相談できること。

自分らしく育つ権利

  1. 個性が認められ、人格が尊重されること。
  2. 遊んだり、休んだりすること。
  3. 年齢及び理解の程度に応じて学ぶこと。
  4. 芸術、文化、運動及び自然に親しむこと。
  5. 自らに関係することについて、必要な助言、情報の提供その他の援助を受け、年齢及び発達の程度に応じて自分で決めることができること。
  6. 地域及び社会の活動に参加すること。
  7. 安心して過ごすことができる居場所が確保されること。

守られる権利

  1. あらゆる権利の侵害から逃れられること。
  2. あらゆる搾取から守られること。
  3. 子どもであることを理由に不当な扱いを受けないこと。
  4. 自らの意思及び考えが尊重されること。
  5. 自らに関する情報が不当に収集され、利用されないこと。
  6. 誇りを傷つけられないこと。

参加する権利

  1. 自らの意見を表明することができ、その年齢及び発達の程度に応じてその意見が尊重されること。
  2. 自らの意見を表明するために、必要な助言、情報の提供その他の援助を受けることができること。
  3. 仲間をつくり、集まること。

市等(市、保護者、子ども関係施設、市民)の役割

市の役割

市は、子どもの権利を尊重し、あらゆる施策を通じて、これを保障しなければなりません。

具体的な内容

連携等
  1. 市は、子どもの権利の保障に関する施策を実施するに当たっては、国及び他の地方公共団体並びに保護者、子ども関係施設、市民、事業者及び子どもの権利擁護に取り組む団体等との連携又は協働に努めなければなりません。
  2. 市は、子どもの権利の保障に資するため、子ども関係施設、市民、事業者及び子どもの権利擁護に取り組む団体等が相互に連携することができるよう、必要な支援を行わなければなりません。
普及啓発
  1. 市は、子ども及び市民が子どもの権利を正しく理解するとともに、子どもがその権利を適切に行使し、その権利が侵害された場合等には、速やかに子ども及び市民が相談することができるよう、広報等により普及啓発しなければなりません。
  2. 市は、家庭、子ども関係施設、事業者、地域等において子どもの権利に関する学習等が推進されるよう必要な支援に努め、及び環境の整備に努めなければなりません。
  3. 市は、保護者及び子どもを支援する者その他子どもの権利擁護に職務上関係のある者に対し、子どもの権利及びその擁護についての理解を深めるため、研修等の機会を提供しなければなりません。
意見表明及び社会参加の機会の確保
  1. 市は、子どもが市の施策に対して意見を表明する機会の確保に努めなければなりません。
  2. 市は、ボランティア活動、国際交流活動その他の子どもが社会参加する機会の確保に努めなければなりません。
  3. 市は、子どもが意見を表明し、又は社会に参加しやすくなるよう、その支援に努めなければなりません。
虐待、体罰等及びいじめの防止等
  1. 市は、虐待の防止等のため、必要な体制の整備、関係する機関との連携の強化、研修の実施及び広報その他の啓発に努めなければなりません。
  2. 市は、市の子ども関係施設における虐待及び体罰等を禁止するとともに、その他の子ども関係施設における虐待及び体罰等の防止に必要な支援に努めなければなりません。
  3. 市は、いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処のための対策を実施しなければなりません。
  4. 市は、虐待、体罰等及びいじめの被害者又は発見者が通報又は相談しやすい環境の整備に努めなければなりません。
特別な配慮が必要な子ども及びその保護者に対する支援
  1. 市は、障害のある子ども、経済的に困窮している家庭の子ども、ひとり親家庭の子ども、本人又は保護者が外国籍の子ども、不登校の子どもその他の特別な配慮が必要な子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、その子ども又はその保護者に対し、必要な支援を行わなければなりません。
  2. 市は、特別な配慮が必要な子どもを把握するため、必要に応じて調査、訪問等を実施するものとします。
成長及び発達に資する支援
  1. 市は、子どもの成長及び発達に資する体験及び交流の促進を図るとともに、当該体験及び交流のための場又は機会の提供に努めなければなりません。
  2. 市は、子どもの芸術的又は文化的な活動、運動及び余暇の利用の促進を図るとともに、これらの機会の提供に努めなければなりません。
  3. 市は、家庭及び学校のほか子どもが安心して過ごすことができる場の確保に努めなければなりません。
  4. 市は、子どもが必要かつ適切な医療、福祉及び教育を受けられるよう、子ども又はその保護者に対し、必要な支援を行わなければなりません。
その他の必要な支援
  1. 市は、子ども関係施設の設置者及び管理者が子どもの権利を保障するために必要な活動に対して、必要な支援に努めなければなりません。
  2. 市は、市民及び事業者が子どもの権利を保障するために必要な活動に対して、必要な支援に努めなければなりません。
その他
きたもと子どもの権利の日
  1. 子どもの権利について、子ども及び市民の関心を高めるとともに、その理解を深めるため、きたもと子どもの権利の日を設けます。
  2. きたもと子どもの権利の日は、11月20日とします。
  3. 市は、きたもと子どもの権利の日に合わせて、条例の目的にふさわしい事業を実施するものとします。
きたもと子ども会議
  1. 市長は、市の施策について子どもの意見を求めるため、きたもと子ども会議を設置することができます。
  2. きたもと子ども会議は、その主体である子どもが定める方法により、意見をまとめ、市長その他の執行機関に提出することができます。
  3. 市長その他の執行機関は、きたもと子ども会議から提出された意見を尊重しなければなりません。
財政上の措置
  1. 市は、子どもの権利に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講じなければなりません。

保護者の役割

保護者は、その養育する子どもの養育及び発達について第一義的責任を有していることを認識し、その養育する子どもの権利を保障しなければなりません。

具体的な内容

  1. 保護者は、その養育する子どもの最善の利益を考慮し、その子どもの成長及び発達の程度に応じた養育に努めるものとします。
  2. 保護者は、その養育する子どもが権利を行使する際には、その子どもの最善の利益を確保するため、その子どもの年齢及び発達の程度に応じた支援に努めるものとします。
  3. 保護者は、その養育する子どもの言葉、表情、しぐさ等から子どもの思いを受け止め、これを尊重するものとします。
  4. 保護者及び子どもと同居する者は、その子どもに対して、虐待及び体罰等をしてはなりません。
  5. 保護者は、その子どもの養育に当たって、市から必要な支援を受けることができます。

子ども関係施設の設置者及び管理者の役割

子ども関係施設の設置者及び管理者は、当該子ども関係施設において子どもの権利を保障しなければなりません。

具体的な内容

  1. 子ども関係施設の設置者及び管理者は、子どもが安心して安全に自分らしく育ち、学び、又は活動することができるよう、当該施設の環境の整備に努めるものとします。
  2. 子ども関係施設の設置者、管理者及び職員(以下「施設関係者」といいます)は、当該施設において、子どもの最善の利益を考慮し、年齢及び発達の程度に応じた適切な支援に努めるものとします。
  3. 施設関係者は、子どもが、当該施設の行事、運営等に参加する機会及び意見を表明する機会の確保に努めるものとします。
  4. 施設関係者は、当該施設において、子どもに対して、虐待及び体罰等をしてはなりません。
  5. 施設関係者は、当該施設において、いじめの防止に努めるとともに、いじめが発生した場合には、子どもの最善の利益を考慮し、関係する機関と連携し、子どもの権利の救済等に努めるものとします。
  6. 子ども関係施設の設置者及び管理者は、当該施設の職員に対し、子どもの権利についての理解を十分に深めるため、研修の機会を設けるよう努めるものとします。

市民の役割

市民は、家庭、子ども関係施設又は地域の中で相互に連携し、及び協力し、子どもの権利を保障しなければなりません。

具体的な内容

  1. 市民及び事業者は、地域の中で子どもを見守り、子どもが安心して自分らしく過ごすことができるよう努めるものとします。
  2. 市民及び事業者は、子どもが、地域の行事、運営等に参加する機会及び意見を表明する機会の確保に努めるものとします。
  3. 市民及び事業者は、子どもに対して、虐待及び体罰等をしてはなりません。
  4. 事業者は、その従業員が安心してその子どもを養育することができるよう、十分に配慮し、及び支援するよう努めるものとします。

子どもの権利に関する相談と救済等

子どもが権利侵害を受けた場合、子どもの権利擁護委員に対して相談や救済等の申立てができます。

申立てがなされたら、子どもの権利擁護委員が調査をし、関係者・関係機関と調整を行います。その結果、必要により、市長やその他の機関に対して必要な措置を講じるよう勧告や要請等をする場合があります。

相談・救済等の申立てができる者

誰でも、次に掲げる子どもの権利に係る事項について、子どもの権利擁護委員に対し、相談及び救済等の申立てを行うことができます。

相談・救済等の申立ての対象

  1. 市内に居住する子どもに係るもの
  2. 市内に通勤し、又は市内に通学し、通所し、若しくは入所する子どもに係るもの(相談又は救済等の申立ての原因となった事実が市内又は当該勤務先、通学先、通所先若しくは入所先の事業活動の中で生じたものに限ります)

相談・救済等の申立ての受付

受付窓口

人権推進課(市庁舎2階)

受付時間

月曜日~金曜日の午前10時30分から午後6時まで(祝日、年末年始を除く)

相談・救済等の申立ての方法

相談の方法

電話、面談、手紙又はメールで行います。

救済等の申立ての方法

書面又は口頭で行います。

救済等の申立ての調査

子どもの権利擁護委員が調査をし、関係者・関係機関と調整を行いますが、申立ての内容によっては、調査・調整の対象とならない場合があります。

子どもの権利に関する施策の総合的な推進と検証

行動計画による施策の推進

  • 市は、子どもの権利に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、子どもの権利に関する行動計画を策定するものとします。
  • 行動計画を策定するに当たっては、子ども及び市民の意見を聴くとともに、子どもの権利委員会の意見を聴くものとします。
  • 市は、行動計画及びその実施状況を公表するものとします。

子どもの権利委員会による検証

委員会の設置

市長は、子どもの権利に関する施策の充実を図るとともに、子どもの権利の保障の状況を検証するため、子どもの権利委員会を置きます。

  • 委員の定数は10人以内。
  • 委員は、人権、福祉、教育その他子どもの権利に関する分野において優れた識見を有する者並びに子ども及び市民のうちから市長が委嘱します。
  • 委員の任期は2年。
  • 委員は、正当な理由なく、職務上知り得た秘密を漏らしてはなりません。その職を退いた後も同様とします。

委員会の職務

市長その他の執行機関の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議します。

  1. 行動計画に関すること。
  2. 子どもの権利に関する施策の実施状況に関すること。
  3. 子どもの権利の保障の状況の検証に関すること。
  4. その他、子どもの権利に関する施策の充実に関すること。

また、委員会は、必要があるときは自らの判断で、前に掲げる事項に関して調査審議することができます。調査審議を行うに当たり、必要があると認めるときは、委員以外の者に対し、必要な資料の提出を求め、又は出席を求めて、その意見を聴くことができます。

答申等

  • 調査審議の結果について、市長その他の執行機関に答申等をするものとします。
  • 市長その他の執行機関は、委員会から答申等を受けたときは、その内容を速やかに公表しなければならなりません。また、答申等を尊重し、必要な措置を講じなければなりません。

用語の意味

この条例で使われる用語の意味は次のとおりです。

子ども

18歳未満の者又はこれと等しく権利を認めることが適当である者をいいます。

保護者

親又は親に代わり子どもを養育する者をいいます。

子ども関係施設

次の施設をいいます。

  • 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条に規定する児童福祉施設
  • 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校
  • その他、子どもが育ち、学び、又は活動するための施設

市民

市内に住み、市内で働き、又は市内で学ぶ者(子どもを除きます)をいいます。

事業者

市内で事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいいます。

虐待

児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第2条に規定する児童虐待をいいます。

体罰等

しつけ、懲戒、指導その他名目のいかんを問わず身体的又は精神的な苦痛を与えることをいいます。

いじめ

他の子どもが行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含みます)であって、子どもが身体的又は精神的な苦痛を感じているものをいいます。

この記事に関するお問い合わせ先

子育て支援課児童相談担当
〒364-8633
埼玉県北本市本町1-111
電話:048-511-7702
ファックス:048-592-5997
お問い合わせはこちら